親が亡くなった後の相続トラブル・遺産分割が苦痛と感じる理由と対策方法
悲しみの中で始まる「お金と家族関係の複雑な問題」
親や家族を見送ったあと、「相続で家族がバラバラになってしまった」とお話しされる方は、本当に多いです。
預貯金・不動産・保険・有価証券など、親御さんが持っていた財産を整理し、家族で分け合う作業は、想像以上に複雑で精神的にも負担が大きいものです。
兄弟姉妹間で「誰が実家に住むのか」「介護の負担をどう評価するか」「預貯金は公平に分けるのか」など、感情と現実が交錯し、長年良好だった家族関係まで壊れてしまうケースも少なくありません。
お仕事や子育てを抱えながら、「平日しか開いていない役所や金融機関に何度も通う」のは、現実的にとても難しいですよね。悲しみの中で、こんなに複雑な問題に直面するなんて…と、途方に暮れてしまうのも無理はありません。
この記事でわかること
- 実際によくある相続トラブル
- 相続・遺産分割が負担になる3つのポイント
- 相続トラブルを未然に回避する具体的な対処法
- 相続の負担を減らす方法
実際によくある「相続の困りごと」
まずは、親・家族が亡くなった後、相続で困った・トラブルになった実例をみていきましょう。
- 親の預貯金が10行以上あり、各銀行で相続人全員の戸籍謄本が必要だと知って絶句した
- 実家の評価額が8000万円、兄弟4人でどう分けるか3年話し合えず、固定資産税だけが積み上がった
- 生命保険金や有価証券の存在を後から知り、すでに遺産分割協議書を作ってしまっていた
相続では、相続人の確定から財産目録作成、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更まで、専門知識が必要なステップが続きます。戸籍を何代もさかのぼる必要が出てくることもあり、自力で進めるのは本当に大変です。
なぜ「相続・遺産分割」が負担に?負担と感じた3つのポイント
では何故、「相続・遺産分割」が負担になるのか、以下の3つのポイントを見ていきましょう。
1. 財産の全貌が分からず、「探し物」状態になる
親御さんが複数の銀行に口座を持ち、生命保険や有価証券、投資信託を持っていたりすると、「一体どこにいくらあるのか」調査するだけで数ヶ月かかることも。
通帳や証券が実家に散らばっている場合、遺品整理と並行して探すのは想像以上の労力です。
2. 兄弟姉妹間で「公平さ」をめぐる感情的な対立
「長年介護をしていたのに評価されない」「実家に住みたいが他の兄弟が反対」「預貯金は多額だが不動産は誰が管理するか」など、数字だけでなく「感情の公平さ」も問題になりがちです。
「親が生きていたら、こう言っただろうに…」という思いが交錯し、収拾がつかなくなります。
3. 期限と税金が絡み、「時間との勝負」になる
遺産分割協議書の作成から不動産名義変更、相続税申告(10ヶ月以内)まで、期限が重なります。
相続登記義務化(3年以内・過料10万円)や特別受益・寄与分主張の10年期限もあり、早めに動かないとリスクが増えます。
今すぐできる、現実的な対処法
1. まずは「財産台帳」を1枚にまとめる
相続の第一歩は、「何がいくらあるのか」を可視化することです。完璧でなくても構いません。
- 市区町村役場で「固定資産税課税明細書」を取得(実家・土地の評価額が分かる)
- 銀行・証券・保険の「取引明細」を集める
- 裏紙など「預貯金○○万円」「不動産○○円」「保険○○万円」とざっくりリスト化する
この1枚があるだけで、家族会議がぐっと現実的になります。
2. 「話し合いルール」を事前に決めておく
感情的な対立を防ぐために、事前に以下のようなルールを決め、家族会議を開始します。
- 「数字は公正証書遺言があればそれに従う。それ以外は全員平等」と大方針を決める
- 「介護負担は現金で○万円上乗せ」「実家住む人は管理費負担」など、例外ルールは全員合意の上
- もめそうな場合は、早めに専門家によるアドバスを受けましょう
「ルールありき」で話すと、感情論に流されにくくなります。また「行った言わない」でまたトラブルにならないためにも、スマホの録音機能や明確な金額を紙に留めておきましょう。
3. 役所・金融機関・専門家を効率よく回る
時間がない中で複数窓口対応を効率化します。
限られた時間の中でも、複数窓口の対応が少しでもラクになるようサポートします。
- 市区町村の相談窓口(開催は不定期)
- 専門家のアドバイス(相談は基本無料のところが多い)
- 法テラス(無駄な費用が発生し、あまりおすすめしない)
最近では、オンライン相続相談も増え、平日夜間対応も可能になっています。
相続には複数の期限があります。LINEやGoogleスプレッドシートなどを使って、家族と共有することをおすすめします。
- 相続税申告:死亡から10ヶ月以内
- 遺産分割協議書:相続税申告前
- 相続登記:3年以内
- 特別受益主張:10年以内
実際に視覚化すると、「次はこれ!」という焦りが減ります。
「相続の負担」を減らす、生前にできる小さな準備
「親御さんに財産のことを聞くのは気が引ける…」というお気持ち、よく分かります。でも、少しだけ話しておくだけで、将来の家族の負担が劇的に減ります。
1. 「財産リスト」を軽く共有してもらう
最初からすべての財産を共有するのは、かなりのハードルがあり「めんどくさがって」後回しになりがちです。そうならないためにも、ざっくり「どれくらい」など軽く伺うことから始めましょう。
- 「銀行は何行かかりましたか?通帳はどこに?」
- 「生命保険は入っていますか?証券はどこですか?」
- 「実家の評価額はいくらくらいですか?」
数字は伏せても、「ある・なし」の情報だけ共有してもらえれば十分です。
2. 「希望」をエンディングノートに書いてもらう
- 預貯金は子どもたちに公平に
- 実家は長男が住みたいならOK」
- 介護してくれた子に少し多めに渡したい
公正証書遺言でなくても、家族の「指針」になるだけで揉めごとが激減します。
まとめ:相続は「ルールと専門家」が家族を守る
親が亡くなった後の相続・遺産分割は、財産以上に「家族関係」を試される大変なプロセスです。自分を責めずに冷静に進めることが大切です。
- 財産台帳を1枚にまとめる(全体像把握)
- 話し合いルールを決める(感情対立予防)
- 専門家を活用(専門家介入)
- 期限管理表を共有(時間との勝負に勝つ)
そして、親御さんが元気なうちに「財産リスト」と「希望」を軽く聞いておくだけで、将来の自分と兄弟姉妹の心の平穏を、大きく守ることになります。
家族が集まる機会に、「もしものとき揉めないように、ちょっとだけ教えてほしい」と勇気を出して聞いてみませんか?
その一歩が、「家族みんなが納得できる未来」への第一歩です。








